THERMAL CRISIS

わたしの棺桶に誰を入れるかを考える日々

映画:インサニティ(閲覧注意)

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あらすじ

2016年製作のカナダ映画。ウイルスに感染した若者たちが互いを食い合うサバイバル・ゾンビホラー。バカンスで離島を訪れた3組のカップル。だが、パーティーで乱痴気騒ぎとなり、ドラッグを口にした5人は威嚇的な態度を取り始める。やがて彼らは互いを攻撃し始め…。

 「インサニティ」はどこで観れる?(大人向け)

予告編(血の描写が苦手な方は以下内容の閲覧はご遠慮ください)

以下の内容には重大なネタバレ・グロテスクな内容、実在した猟奇的事件などが記載されています。十分にご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のポイント

B級と思いきや、可能性としてありえる「現実味のある」描写と思想。

 

というのも、単純にありがちな「若い男女のグループがバカンスで出かけた先で恐怖体験を味わう」というオーソドックスなゾンビもの・ホラーものの映画のベースの上に、「現実にある薬物」に手を加えたものや、人類の暗黒史とも呼べる政治的な暗躍などの3つの線が交差しているのが非常に興味をそそられる。

 

まず本作では、「薬物による凶暴化によって人が人を襲う」のであって、「ウイルスなどで死んでから復活し凶暴化して人を襲う」のではない。そして何より凶暴化したもの同士も凶行し合う。その点がゾンビとは異なるもの。確実に急所を攻撃すれば、生命活動が終わるのが明らかにゾンビとは違う。

 

でもゾンビとの共通点は、腸を喰いちぎるのが好きという点(笑)

 

ゾンビものや薬物ものは溢れているが、「なぜ」薬物を使うのか「どうやって」薬物を使うのかに触れて「結果」どうなったかという具体性に触れているものは実はあまりない。(終始コントロールされている)

 

意味不明な薬物というものではなく、実在するもの(コカイン)に「手を加えた」というのが重要なポイントである。

 

よくありがちな政府や秘密機関の陰謀という風にも見えるが、実は微妙に違う。

「政府派」に反対する「反対派」が、政府の政権交代のために行うための「政治的な手法」の1つだっただけであって、その為の「薬物テロ」である。目的がありふれたものと微妙に異なるのが面白い。

 

コカインって何?

よく海外映画などで、鏡の上やテーブルの上に粉末状の薬物をクレジットカードなどで線のように起き、紙幣を筒状に丸めたもので鼻に吸引(スニッフ)するシーンがある。

これによく出て来る薬物が「コカイン」である。本作でも粉末を吸引(スニッフ)するシーンとして登場している。

コカイン(英語: cocaine)は、コカノキに含まれるアルカロイドで、局所麻酔薬として用いられ、また精神刺激薬にも分類される。トロパン骨格を持ちオルニチンより生合成される。無色無臭の柱状結晶。 医療用医薬品としては、安定な塩酸塩として流通している。 コカインは麻薬に関する単一条約で規制されている。麻薬及び向精神薬取締法における麻薬である。

参照元:コカイン - Wikipedia

簡単に言うと元は「コカ」という樹木である。

(巷でよく聞く、初期のコカ・コーラに含まれていたものでもある)

 

薬物による凶暴化

よく、「麻薬で人が変わる」と言われているが、薬なのだから当たり前だろう。麻薬指定を受けていない、普通の治療を目的とした薬さえも効果がなければ薬にならないのだから。サプリが薬とされていない理由としては薬のように効果のない「栄養補助食品」だから。

 

日本はもちろん、アメリカでもやはり違法薬物として名高いコカイン。

本作ではこのコカインに、ある人物たちが「手を加え」、人体に吸収されると通常のコカインの作用とは異なり凶暴化する。

実際のところ、これが再現可能なものなのかどうかはさておき、アイデアとしてはたしかにテロとしてこれ以上無い効果を得られるだろう。

 

なぜなら、人間が自発的に快楽目的で使用することが前提としてある薬物だから。

 

さてここで、「あれ、これなんか実際に同じような事件なかったっけ?」となったので紹介したい。

 

マイアミゾンビ事件である。

マイアミゾンビ事件とは?

事件は2012年5月26日、フロリダ州マイアミのマッカーサー・コーズウェイ、マイアミとマイアミビーチをつなぐフリーウェイの脇道で発生した。加害者は全裸で被害者の顔に噛み付き、駆け付けた警官が数発発砲しても被害者から離れなかったため射殺された。被害者は左目、鼻、顔の皮膚の大半を失う重傷を負ったものの、一命を取り留めた。現場付近にあった防犯カメラが18分に及ぶ犯行の一部始終を撮影しており、事件後にインターネットでその犯行映像が拡散した。

参照元:マイアミゾンビ事件 - Wikipedia

 

matome.naver.jp

政権を取る手法としてのテロ

実際に人類の暗黒史として、政権を取るためにこのような薬物などを用いたテロによって活動をする政治家がいたかどうかは今のところ世間ではわからない。

が、ありうる話だとも言える。妄想として、あくまでフィクションとして考えつくということは「現実においても考えられる可能性がある」ということで、非常に興味深い。

 

スパイ大国と呼ばれている日本だが、今の政治情勢を見ていて思う通り、「政権を取る」ことに重きを置いているのが日本の「野党」である。これを語ると長くなるので省略するが、本作においては「政権を取るために薬物テロをわざと起こして」現政府を非難して支持を集めているのだ。

そして、この陰謀論はニュースなどでは「妄想」と片付けられてしまう。なぜなら現実味がなく、証拠がないからだ。劇中(といってもエンドロール)この陰謀論を説いた人物は「誰が得をしているか」を説いてそこから遡って言っている。

 

この映画「インサニティ」の話の概要としては、巷で薬物テロが起き、それによる凶暴化した市民によって猟奇的な食人・殺人行為が社会現象となり、薬物を用いたテロをしていた上院議員は現政府を避難し、自分こそが大統領にふさわしいと会見を行う。といった流れ。

 

簡単にいうと、責任という役割を薬物テロを使って、自分ならばふさわしい流れにさせるために起こした薬物テロだった。

 

拭えない後味の悪さ

とにかく、血、血、血。

よくある幻覚・疑心暗鬼の状態が特定の発達障害や特定の精神疾患を連想され、薬物でなくともここまではいかないものの、可能性を考えさせられるものだった。これによるバッシングも含めて。

 

余談だが、今更ながらPS3版(コンシューマー版)のひぐらしのなく頃に粋をプレイ中なのだが、まさにこれに少し似ている。

 

このブログでは、ODの記事なども書いてきたが、この映画ではまさにこのODの後悔に近いものを感じられた。

 

なぜなら、「薬の効果が切れたら凶暴化がおさまる」から。

 

血中濃度半減期が6時間(劇中、薬をキメている時間からだいたいの時間が6時間くらいじゃないかと勝手に想像した)だとしたら、普通の薬と変わらない。

 

なぜ後味が悪いのかを考えると、話そのものもそうだが、自分の周りにいる精神疾患や発達障害の「本意でない行為」を連想させられるからだ。疑心暗鬼や、不安などによる暴力や暴言。自分の感情を抑えられないなど、ありふれたその症状が、この映画においてはテロとして利用されている。

 

ちなみに、原題は「THE EVIL IN US」(直訳で"わたしたちのなかにある悪意”)そしてUSとは、米国のことを連想させられる

日本版のタイトル「インサニティ」は"精神異常、精神病、狂気、狂気のさた、愚行"という意味がある。これはうまい邦題だと思う。

 

なぜか評価が低い

個人的には他の人の評価に関しては自分に評価に影響はされないと思っている。

がしかし、なぜかB級のレッテルを貼られ、後味の悪さや深く掘り下げていないという点からか辛口の評価が多いのは気になる。僕のように、「現実味のある映画が面白い」とするタイプは現実との対比に重きを置いており(もちろんフィクションとして世界に入ることはする)、自分なりに吟味するのだが、ただ観ているだけで脚本や演出だけを見ているのはもったいないんじゃないだろうか。

 

たしかにオチに政治的陰謀を持ってくるとしたら、もっと掘り下げても良かったかもしれないが、タイトルが「THE EVIL IN US」なのだから、曖昧にぼかしているほうが恐怖感は増すだろう。なぜなら人は曖昧なもの・はっきりしないことに恐怖を抱くからだ。

 

猟奇事件を追う刑事にいたっては必要があったのかどうかわからない。

この人行動はやいし、もしかしたら若者グループの凶行を止められるかも?と思っていたのに、間に合わない上に「しくった〜」という顔で終わるのは、ちょっとちょっと(^^)とならざるをえない。